古典絵画とユートピア1


昨今の美術の主題は、人類の絶望や精神的疾病のバリエーションがほとんどのように思われてならない。産業革命以前の世界の絵画作品は、それがたとえ権力者の趣向やや当時のプロパガンタだとしても、「理想郷」を表現しているものが多い。このことは、「個人主義」の台頭と共に衰退したのかもしれない。「個人主義」の本質は最終的にナルシズムとマゾヒズムに終始してしまうようだ。そういうビジョンは、鑑賞者にとって快適では無い場合が多い。しかし戦後の50~60年代の保守的な志向に対するアバンギャルド芸術は意義があると思う。なぜなら、一向に変化しない美意識に、違うものの見方や意識を提示し、新しい「ユートピア」に言明している活動が多い。

だが、アバンギャルド運動は「なんでもあり」の弊害を生み出した。

絵画を描くということは、現実との関係性を変化させることだ。
描くという作品との対話によって自分と作品との関係に微妙な変化がおきる。

つまり、ある部屋に作品が置いてあるという背景にいる「個人」は、空間との関係を作るからだ。
空間との関係は、あらゆる設定において心理状態に影響する。

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